βブロッカーは正常眼圧緑内障を悪化させ得る?

一部改訂(赤字部分) 2001 February

βブロッカー点眼は就寝時に血圧、脈拍低下をもたらすと共に、
正常眼圧緑内障においては視野変化の進行にも関与する可能性があるというレポート

 βブロッカー点眼は、簡単で強力、かつ不快な副作用の少ない眼圧加工剤として普及し、現在では緑内障治療の第一選択薬としても用いられつつあります。私自身も多用しています。
 一方、点眼薬は粘膜、あるいは鼻涙管からのどを経由して、投与量の80%近くが全身に移行することが知られています。βブロッカーは全身作用として、徐脈などを起こすため、より選択的に作用する点眼薬(ベトプティックなど)も開発されてきました。
 今回のレポートは、全身的、あるいは点眼でβブロッカーを投与されている前眼部虚血性視神経症、正常眼圧緑内障、開放隅角緑内障患者において、夜間の血圧や脈拍の変化、視野の変化を調査したものです。
 結果は、全身投与でも点眼でも、βブロッカー投与によって血圧低下と脈拍数減少が認められ、特に正常眼圧緑内障患者の拡張期血圧低下が顕著でした。またβブロッカーを点眼していない正常眼圧緑内障患者おいては、視野が進行したのは28名中16名(57%)であったのに対し、βブロッカー点眼群では60例中55例(92%)と、統計的に有意に多い視野の進行が認められました。
 著者らは、血圧低下などによって生ずる視神経乳頭への血流減少が、もともと脆弱な視神経に悪影響を与えるのではないか、と推察しています。開放隅角緑内障については、ほとんどの症例がβブロッカーを点眼していたため、比較できなかったとしています。 また、今回のデータでβブロッカーが有害であるとシンプルに言うことはできない、ともコメントしています。
 仮に一過性の血圧低下と血流減少が生じても、眼圧下降作用の方がより有益で、結果として視野には有利に働く場合もあるでしょう。なんといっても、βブロッカーが強力な眼圧下降作用を持つことは事実です。要は、作用、副作用のバランスであり、これは他のすべての薬や治療法同様、個々の症例について経過を診、適否を判断していくしかないでしょう。
 私もちょっとでも眼圧を下げようと、正常眼圧緑内障患者に対してβブロッカーを使用しています。少しでも全身作用が少ないよう、チモプトールよりベトプティックミケランを選んでいるのですが、今後は症例によっては、同じβブロッカー系でも、血流改善作用が期待されるハイパジール、プロスタグランディン系のキサラタンレスキュラ、あるいはピバレフリンなどをメインにしていこうと思います。
 出典は、Hayreh SS et al: Beta-blocker Eyedrops and Nocturnal Arterial Hypotension. Am J Ophthalmol 128: 301-309, 1999

ホームページに戻る

眼科ニュースの目次に戻る