| トルソプト (Dorzolamide)は、炭酸脱水素酵素阻害効果による眼圧降下剤として有名な「ダイアモックス」の点眼薬版です。5月上旬の発売が予定されており、ベータブロッカー点眼の不適例や、降下不足例に使おうと、私自身待ち望んでいた薬です。
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| 点眼時の刺激感と苦みを感じること、そして10〜15%の例で生ずるSPKと眼瞼腫脹が副作用の主たるものとされていましたが、角膜内皮が非常に悪い症例に点眼すると、著明な角膜浮腫を生じ、点眼を中止しても治らない例がある、というのが今回取り上げる論文です。
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| 米国の数施設での報告をまとめたもので、バックグラウンドとなるトルソプト投与症例総数は記載されていません。このため、頻度などはわかりませんが、9例において、トルソプト点眼開始後、3〜20週 (平均8週)で明瞭かつ不可逆的な角膜浮腫が生じたとのことです。これらの症例はどれも眼内手術をされており、角膜移植や角膜内皮変性などの既往もある、言わば「がけっぷちに立たされた」角膜だったようです。
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| トルソプト点眼は毛様体上皮に働いて房水産生を抑制しますが、同時に角膜内皮にも作用し、内皮のポンプ作用を阻害して角膜浮腫を生ずる可能性があります。著者らの引用文献 (Sharir M. et al. 1993)によると、同じ炭酸脱水素酵素阻害剤である、Thiadiazoleと Benzothiazoleは、角膜に6〜10%の浮腫を生じさせる、とのことです。
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| 健常眼、あるいは単なる緑内障眼においては、このような報告はありませんから、これでトルソプト点眼薬の有用性が減じたとは思いません。しかし、角膜内皮が悪い症例に処方する際には、事前に内皮をチェックし、危ない場合には中止するという配慮をすべきでしょう。また、角膜内皮が「準不良」な症例について、点眼前後での角膜厚径を比較する調査も必要でしょう。
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| 出典は、Konowal A et al: Irreversible Corneal Decompensation in Patients Treated With Topical Dorzolamide. Am J Ophthalmol 127, 403-406, 1999 |
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その後、日本におけるトルソプト点眼薬発売元、萬有製薬の学術部から「海外で使われているトルソプトは2%ですが、日本では0.5%と1%のものしか販売しないため、副作用も少ないと考えられます」とのコメントをいただきました。
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