喫煙による白内障とビタミンE

ビタミンEは喫煙による白内障を防止できるか?

 このトピックスの欄でも、喫煙は白内障の危険因子であるという記事を取り上げています。今回のトピックスは、ラットを用いて、喫煙によって水晶体に生ずる生化学的変化と、ビタミンEがそれに及ぼす影響を調べたものです。
 7匹×4群のラットを用いています。すべての群は90日の間、一日1時間、特別な部屋に入れました。この部屋で2群は普通の空気、2群はタバコの煙を加えた空気にさらされました。また、各2群のうち1群ずつは、部屋に入れる前にビタミンEを毎回10mg/kg筋注しました。90日後にラットを屠殺し、水晶体を顕微鏡的および化学的に調査しました。
 ビタミンEなしでタバコの煙にさらされたラット群の水晶体からは、他の群の2倍以上と、有意に多い鉄及びカルシウムイオンが検出されました。ビタミンE注射後、煙にさらされたラットの水晶体には変化はありませんでした。また、水晶体前嚢、後嚢の組織的変化も、ビタミンEなしで煙にさらされた群に明瞭に観察され、他の群には認められませんでした。
 タバコの煙にさらされた組織には、活性酸素物質と金属が含まれます。活性酸素物質は白内障生成に関与すると考えられます。また、金属は活性酸素物質生成の触媒となると共に、それ自体酸化作用を持ち、特に鉄はその作用が強力です。ビタミンEは抗酸化作用があるため、今回ビタミンE投与による変化を調べたわけです。
 これから直ちに、喫煙によるヒトの白内障リスクに対してビタミンE投与が有効だ、という結論を出すのは尚早ですが、ビタミンEは脂溶性ビタミンではあるものの、それ自体に過剰摂取による害はありません。ダメでもともと、服んで害はない、ということでしょうか。
 ただ、今回の投与量は体重60kgの大人であれば600mgに相当し、通常の必要量の100倍近く、治療量に対しても数倍と多量です。他の脂溶性ビタミンの吸収を、競合阻害する可能性も考える必要があるかもしれません。また、過敏症と共に消化器障害も考慮する必要があるでしょう。
 出典は、Avunduk AM et al: Prevention of Lens Damage Associated with Cigarette Smoke Exposure in Rats by α-Tocopherol (Vitamin E) Treatment. IOVS 40, 537-541, 1999

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