眼内レンズの寿命

白内障手術に用いる眼内レンズ(人工水晶体)の寿命について

 現在、白内障手術時には眼内レンズを挿入するのが普通です。白内障は目の中の水晶体が濁るために発生します。水晶体はレンズの作用を果たしているため、単に濁った水晶体を除去するだけでなく、替わりになる眼内レンズを挿入する必要があります。
 眼内レンズの材質はPMMA(Poly Methyl MetAcrylate)が主でしたが、最近になって小創口から折り畳んで挿入する目的でシリコン、ソフトアクリルなどの材質も使われ始めています。PMMAの場合の寿命は30年とも40年とも言われていますが、実際にその期間使われた眼内レンズはなく、あくまでも予想です。
 このレポートは、角膜障害のため除去された、挿入後5.8〜14.5年(平均10.9年)のPMMA製4loop iris clipレンズに、破壊応力試験、YAGレーザーによるpit、crack形成試験を行ない、同時期に作られて保存状態に置かれていた新品レンズと、その強度比べたものです。
 結果はいずれの試験においても摘出レンズと新品レンズの間で、強度に差は見られませんでした。作られたばかりの新品との比較ではありませんが、保存状態に置かれたPMMAの安定性は高いと考えられますから、PMMA製眼内レンズはひとまず10年では劣化しない、と言えそうです。
 これがそのまま、30〜40年は保つという保証にはなりませんが、今使用されているPMMA製眼内レンズはほとんどが後房レンズでこのレポートのレンズより紫外線曝露などの点で有利です。iris clipレンズが10年で劣化ゼロなら、後房レンズは30〜40年以上保つというのはありそうなことです。
 出典は、Shoji E, Daicho M, Hara Ts, Hara Ta and Obara Y: Intraocular lens durability after a mean of 10.9 years' implantation in humans. Br J Ophthalmol 81,407-408,1997

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