度数調整可能な眼内レンズ

眼内レンズ挿入後残余乱視を、術後に調整可能な眼内レンズ

  白内障手術技術、用具の発達により、現在では小切開創から水晶体を除去した後、折りたたみ眼内レンズを挿入する方法が一般的になってきています。このため、術後の屈折変動も小さく、術前の眼内レンズ度数計算の精度向上と併せて、術後の屈折状態はかなり予定通りに仕上がるようになっています。

 しかし、それでも±0.5D程度の誤差は不可避であり、±1.0D程度のずれも珍しくありません。 術後、眼内レンズ度数を調整できれば、患者さんの満足度は格段に向上するでしょうし、術者のストレスも減るでしょう。

  光調整眼内レンズ(light adjustable IOLの直訳です)は、素材の中に紫外線吸収剤と紫外線に反応する物質が含まれており、適切な波長の紫外線を照射すると、それらの物資が反応して重合が起き、結果として眼内レンズの度数が変化するというものです。

  照射する紫外線の強度、時間、照射範囲などを変えることによって、眼内レンズ度数の増加、減少に加えて、乱視矯正、高次収差矯正も理論的には可能です。部分的な照射によって眼内レンズを目的の形に整形した後、全体に一様に照射を加えてそのまま硬化させ、眼内レンズ形状を固定します。

  手術は14例に対して行われ、意図的に+2.0Dまでの遠視が残るよう、眼内レンズ度数が決定されました。眼内レンズは折りたたみ式、3ピース構造で全長13mm、光学部径6mmです。術後遠視度数は、約2/3の症例が+0.250〜+1.0D、残りが+1.25〜+2.0Dの遠視となっています。自然光による重合を防ぐため、眼帯をはずした後の患者は終日、紫外線防護眼鏡を装用する必要があります。

  紫外線照射後の屈折変化はほとんどが目標の0.25D値以内に収まっており、1例だけ0.5Dオーバーしています。0.25Dオーバーが5例、目標通りが6例、0.25Dアンダーが2例。この値は6ヶ月後で変わらず、1ヵ月当たりの平均変化は0.006Dにすぎませんでした。
 この報告では、遠視の矯正(球面屈折度数の増加)に限った試験しか行われませんでしたが、理論上は前述したように近視、乱視、高次収差矯正も可能です。現在、眼内レンズに球面収差矯正デザインを使用することは普及してきていますが、術後の眼球全体としての屈折を調整することはできません。自然の紫外線に当たると不本意な重合が起きてしまうため防護眼鏡を外せず、そのため術後普通の生活をしてから希望の度数に変更するといった使用方法はできませんが、今後の普及が期待できる眼内レンズだと思います。
    出典は、Chayet A et al. Correction of Residual Hyperopia After Cataract Surgery Using the Light Adjustable Intraocular Lens Technology. Am J Ophthalmol  147:  392-397, 2009 です。

 

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