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糖尿病の眼合併症としては糖尿病網膜症や白内障が有名ですが、糖尿病角膜症という概念もあり、特に角膜上皮の脆弱性、バリアー機能低下、創傷治癒遅延といった異常が知られています。臨床的にも糖尿病患者の手術時に角膜上皮障害が起きやすい、起きると治りにくいといったトラブルは珍しくありません。 |
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今回紹介する論文は、インシュリンを直接点眼することによって、この創傷治癒遅延が改善するかどうかを見たものです。試験には健常なラットと、ストレプトゾシンで作った糖尿病ラットを使用しています。 |
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ラットの角膜中央部から直径5mmの角膜上皮を機械的に剥離し、20μLの点眼を1日4回、7日間行って角膜上皮欠損部の面積変化を追跡しています。点眼薬は基剤のみ、1単位のインシュリン含有、2単位、5単位含有の4種類を使用、比較しています。 |
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結果は、健常なラットではどの点眼を用いても角膜上皮の創傷治癒に差は見られませんでした。一方、糖尿病ラットでは基剤のみ点眼の場合、16〜32時間経過後の欠損面積が健常ラットの32%〜37%大きいという結果になりました。 |
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これに対し、インシュリン点眼ラットでは1、2、5単位点眼群のいずれにおいても基剤のみ点眼より19%〜37%、残存欠損面積が小さく、32時間後の欠損面積は1単位点眼群では基剤のみ点眼群の53%減。ただし2、5単位点眼群では基剤のみ点眼群と差がないという結果でした。 |
| また、角膜知覚測定では、糖尿病ラットは健常ラットより角膜知覚が2.6倍低下しており、角膜上皮欠損治癒後もこれは不変でしたが、糖尿病ラットでもインシュリン1単位投与群は角膜知覚が健常ラットなみに回復していました(2、5単位投与群については測定せず)。血糖値はインシュリン点眼群と基剤のみ点眼群の間に差はありませんでした。 |
| 血糖値に変化がないということは、インシュリンが角膜上皮細胞に直接作用し、健常な状態に近づけたことを意味する、と著者らは解釈しています。角膜知覚低下はヒトの糖尿病患者にも一般的に起きることが知られています。インシュリン点眼は糖尿病患者における角膜創傷治癒の促進をもたらすとともに、予防的に用いて角膜上皮の健常化にも役立つようです。ヒトへの応用が期待できそうです。 |
| 出典は、Zagon IS et al: Use of Topical Insulin to Normalize Corneal Epithelial Healing in Diabetes Mellitus. Arch Ophthalmol 125: 1082-1088, 2007 です。 |
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