遮蔽終了後の弱視再発

弱視に対する遮蔽治療はいつまで続ける必要があるのか

  弱視は新生児から成長していく過程で、大脳皮質における視機能が不完全なまま視中枢の成長が終わってしまうことで生じます。屈折異常や斜視などのために、十分な視覚刺激が得られないことが原因ですが、特に片眼のみ遠視や乱視がある場合に、視力の悪い方の目に起きやすくなります。このため、弱視治療においては、視機能が固定する前に眼鏡等で矯正を行い、同時に良く見える方の目をアイパッチなどで一定時間遮蔽して、悪い方の目を強制的に使わせることで視覚刺激を与える治療が行われます。

  一旦確立された視機能は、眼鏡装用や遮蔽治療を中止しても失われることはないのですが、矯正視力が改善しても、直後に中止すると「逆戻り」して視力低下が生ずることがあるようです。遮蔽治療によって視力が悪かった方の目にひとまず矯正視力が得られた後、どの程度続ければ遮蔽をやめても視力を保つことができるか。逆に言えば、一旦弱視治療に成功した後、どの程度遮蔽を続けておく必要があるのか。今回はそれを調査した論文を紹介します。

 対象は斜視弱視、不同視弱視のために遮蔽治療を受けた10才未満の症例449例。ログMar視力で2log以上の視力低下、あるいは利き目の逆転が生じたものを弱視の「戻り」と判定しました。

  遮蔽は1週間から4週間の最低8時間、原則終日の遮蔽を、適当な間隔をおきながら行い、健眼と同等以上の視力に達した場合、連続した終日遮蔽を3クール行っても視力改善が見られなくなった場合に弱視治療は成功、あるいは終了したと判断されました。その時点から数ヶ月ごとに遮蔽期間を半減させ、遮蔽がゼロになっても維持できるか、あるいは視力低下が生ずるかを観察しました。

 対象は2〜3才が25例、3〜4才が67例、4〜5才が87例、5〜6才が99例、6〜7才が83例、7〜8才が51例、8〜9才が38例、9〜10才が9例。遮蔽開始時の平均年令は4才弱ですが症例数は6才をピークに±2才がメインといったところです。

  弱視の「戻り」が生じたのはこのうち27.4%。この中のさらに18%は二度目の治療後も再度「戻り」が起きています。「戻り」の発生率は年令と逆比例しており、2才の32%から5才の27%まで徐々に減少し、6才では23%、7才では19%、8才では9%と著明に減っています。
  著者らは遮蔽終了後1年まで「戻り」の有無を追跡していますが、それを過ぎてもなお発生する可能性は否定できないとしています。遮蔽治療を行って視力が改善しても、遮蔽終了後最低1年は注意深く経過を追跡する必要があるようです。

  出典は、Bhola R et al.: Recurrence of Amblyopia after Occlusion Therapy.  Ophthalmology 113: 2097-2100, 2006 です。

 

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