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緑内障治療を行っている患者さんから、時々「息むのは眼圧に悪いですか」、つまり力仕事をするときやトイレでお腹に力を入れてがんばると眼圧が上がるのではないか、と聞かれることがあります。顔が真っ赤になる状態ですから、おそらくは静脈圧が上昇しており、すると隅角、シュレム管から房水静脈への流出が妨げられるであろうから、眼圧が上昇しても悪くない。 |
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人体は複雑な機構ですから、単純にそれだけで「上がります」とは言えませんが、そのような質問を受けた場合には「上がるかも知れません。しかし1日の長さに比べればごく短時間ですから、あまり気にしなくていいでしょう」と答えてきました。とはいえ、実際どうなのかは気になるし、上がり幅が大きければ短時間でも問題になるかも知れない。以前から少し引っかかっていた疑問です。これに答えてくれる論文が掲載されていましたので紹介しておきます。 |
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対象は18〜40才のふだんからウェイトリフティングなどの運動をしている健康な男性30名。眼圧はすべて21mmHg以下、隅角、視神経、視野に異常はありません。調査時には「ベンチプレス」つまり台の上に寝て、スタンドの上に支持されたウェイトをその態勢から持ち上げる運動を行い、トノペンで眼圧を測定しました。 |
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数回上げ下げした後、息を止めたまま持ち上げた状態を保って眼圧を測定する方法と、普通に呼吸しながら持ち上げた状態を保つ方法の2つの測定、つまり息んでいる状態と、ウェイトを持ち上げているが息んではいない状態の二つの状態での測定を行っています。 |
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結果は「息んだ」状態での挙上時には90%の被検者で眼圧上昇が生じ、平均では運動前に比べて平均4.3mmHgの上昇が認められました。5mmHg以上の上昇を示した者は30%。また、10mmHg以上の顕著な上昇示した被検者が2名(それぞれ13mmHg、18mmHg)いました。10%の被験者は逆に眼圧が低下しました。 |
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「息まない」状態での挙上時では62%の被験者で眼圧上昇が生じ、平均2.2mmHgと「息んだ」状態よりは少ないものの、統計的に有意な上昇が認められました。5mmHg以上の上昇は21%に見られましたが、10mm以上の上昇が認められた被験者はいませんでした。眼圧が低下した被験者は17%でした。 |
| 終了後一分での眼圧は開始時より平均1.3mmHgの有意な低下を示していました。運動、エアロビクス、あるいは力んだりした後に眼圧が低下することは以前より報告されているそうです。確かに結果を見ると「息む」ことによって、その間は眼圧が上がるようです。 |
| では緑内障に悪影響を及ぼすのか? 短時間であり、平均4.3mmHgと軽度な上昇であること、その後に逆に眼圧が低下することを考えると、臨床的には問題ないような気がします。しかし13, 18mmHgも上昇する例を見ると、病期、病態によっては非可逆的な変化をもたらす可能性も否定できません。 この問題に対する疫学調査の結果が出るまでは、初期の緑内障患者さんには説明した上で「気にしないでいいでしょう」と答え、病期の進んだ患者さんには「ほどほどにするように」と説明することになりそうです。 |
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出典は、Vieria GM et al.: Intraocular Pressure Variation During Weight Lifting. Arch Ophthalmol 124: 1251-1254, 2006 です。 |
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