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結膜下出血は鼻血と同様、通常病的所見ではありません。寝ている間に無意識にさわる、痒くてこするなど、場合によってはクシャミをした拍子などのきっかけで球結膜の毛細血管が破れるために生じます。加齢によって結膜が肥厚すると血管が蛇行し、より出血しやすくなるという意見もあります。 |
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それ自体は害がないのですが、白目が真っ赤になるため本人は驚きますし、周囲の人も騒ぎ立てます。眼科では見慣れた光景ですがご本人は不愉快でしょうし、眼科医が結膜下出血を起こすと大変かっこうわるい。出てしまったものは仕方ないので、急襲するのを待つしかないのですが、なんとか早く吸収させる方法はないか、とよく相談を受けます。 |
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ありがちな間違いは「充血が引きます」という類の市販点眼薬の使用。血管収縮剤が入っていますから血行が減り、逆に吸収を妨げかねません。せいぜい温めて血行を促進し、吸収を促すというのがこれまでの方法でした。それもどこまで効果があるのか甚だ疑問、というものです。 |
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今回紹介する論文では、血液凝固抑制剤であるヘパリンを結膜下に注射し、結膜下出血を吸収されやすい状態に保つことによって、家兎での吸収促進に成功しています。一旦凝固した血液にヘパリンを加えても溶けるわけではありませんが、線維素分解を助ける作用があるそうです。 |
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ヘパリンを大量に投与すると、全身的に血液凝固を抑制する副作用が考えられ、といって少量では効果が出ない。そこでリポゾームに封入した形で結膜下投与し、局所で持続的に高濃度を保つようにしたのが、この実験のポイントのようです。使用したのは7kDa以下の低分子量 ヘパリンを封入した550nmほどのリポゾーム。結膜下出血は結膜下に血液を注入することで定量的に作成し、8時間後にリポゾームに封入したヘパリンを結膜下注射しています。他にリポゾームのみ、ヘパリンのみ、無処置の群を対象として観察しています。 |
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結果は、ヘパリン封入リポゾーム、ヘパリンのみ、の順で吸収が促進されており、完全消失までの平均時間は無処置、リポゾームのみ群の184〜188時間に対し、ヘパリンのみ投与群では164時間、ヘパリン封入 リポゾーム群では134時間と有意に減少していました。1週間以上かかるものが5日半で吸収した計算になります。また、ヘパリンのみの群では血中はヘパリン濃度も顕著に上昇しましたが、リポゾーム封入群では血中濃度上昇はわずかでした。 |
| 無害な結膜下出血に対して、吸収を1日かそこら早めるためだけにそこまですることが良い事かどうかは疑問です。実際には注意して結膜下注射を行っても結膜下出血を起こさせてしまうこともあり、実用的な治療法とは思えませんが、投薬手法としては興味深いものだと思います。 |
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出典は、Moon JW et al.: Effect of Subconjunctivally Injected, Liposome-Bound, Low-Molecular-Weight Heparin on the Absorption Rate of Subconjunctival Hemorrhage in Rabbits. Invest Ophthalmol Vis Sci. 47: 3968-3974, 2006 です。 |
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