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緑内障治療薬の効果として、眼圧下降作用と同時に眼循環、特に視神経乳頭血流の増大と、それによる視神経保護が良く宣伝されています。今回紹介する論文は飲酒によって視神経乳頭血流が増加することを報告しています。眼圧下降が緑内障の進行を抑えることは確立された事実ですが、視神経乳頭血流の増大が視野進行を遅らせるかどうかは臨床的には証明されていません。緑内障治療薬が謳う「視神経乳頭血流の増大と、それによる視神経保護」が事実であるなら、飲酒もまた緑内障治療に有効ということになりそうです。 |
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実はすでに飲酒によって眼血流は増加しないという報告があるそうですが、著者は日本人の半数は白人と違ってアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の効果が弱く、アルコールの代謝で生じる血中アルデヒド濃度が高いことに着目し、ALDH2の活性部分欠損者と非欠損者に分けて実験を行いました。 |
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実験方法はALDH2欠損者6名と非欠損者5名にビールの大瓶1本を30分以内に飲ませ、レーザースペックル法を用いて飲酒前から飲酒後90分までの視神経乳頭循環を測定するというものです。同時に眼圧、血中エタノール濃度を測定しています。 |
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結果、飲酒後15分で血流量は14%増加し、その後減少しながらも飲酒後45分までは有意な増加を示しました。眼圧には有意な変化はなく、血圧は60分後に12%の有意を低下を示しました。ALDH2欠損者と非欠損者を比較すると、欠損者は有意に血流量増加が多い結果を示しました。 |
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次に家兎を使った実験によって、エタノールの分解を阻害し、血中アルデヒド濃度が上がらないようにすると、視神経乳頭血流が増加しないことを確認しました。またアルデヒドの分解を阻害すると視神経乳頭血流が有意に増加することを示しました。これによって、視神経乳頭血流の増加は、少なくとも家兎の場合はエタノールそのものではなく、その代謝産物であるアルデヒドであることが確かめられたわけです。大変きれいにデザインされた研究だと思います。 |
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論文にはALDH2活性非欠損者でも視神経乳頭血流が増加するか否かは記されていませんが、グラフから読むとどうも効かないようです。ALDH2非欠損者、つまり酒に強い人の場合は呑んでも緑内障には効かないということかも知れません。患者さんに喫煙が緑内障の危険因子であると説明すると、よく「ではお酒は?」と聞かれるのですが、少なくとも悪影響はないと答えて良さそうです。もっともアルコール中毒の状態に至ると視神経症を発症することがありますから、なにごとも程度問題ですが。 |
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出典は、小嶌 祥太: 飲酒と眼循環(日本眼循環学会 シンポジウム1:生活習慣病と眼循環). 眼紀 57: 336-341, 2006 です。 |
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