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白内障の外因の一つとして放射線(電離放射線)が挙げられます。癌などに対する放射線治療の副作用として、また原爆白内障としても生じます。ところで宇宙空間には太陽系外から飛来する宇宙線、太陽から噴き出す太陽風など、多くの放射線が飛び交っており、地球大気というカバーがなければ我々は直接それにさらされることになります。 |
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このため宇宙飛行士などは放射線曝露に対して防護手段をとり、あるいは大気圏外での滞在時間に制限がかけられています。しかし高々度を飛行する現代のジェット旅客機もまた、これらの宇宙線にさらされているわけで、実際、そのような環境では放射線曝露量が増加することが知られています。 |
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今回紹介する論文は、民間パイロットの被曝量を推算し、白内障発生のリスクが増えているかどうかを調査したものです。71名のパイロットを対象とし、374名の一般人と白内障発生率を比較しています。 |
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喫煙、多量の紫外線曝露などの既知の危険因子を除外して解析したところ、パイロットは一般人よりも3倍以上核白内障を発生しやすいという統計的に有意な結果が得られました。喫煙についても2倍近い危険率となっていますが、症例数が少ないため有意ではなかったようです。日光浴の習慣があるものの危険率は0.9とむしろ少なくなっていますが、これも統計的には有意ではありません。 |
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また記録されている飛行時間、高度などから各人の被曝量を推算したところ、1ミリシーベルト以上で有意に白内障が増加し、22ミリシーベルト以上ではさらに白内障の危険率が一般人の4倍以上にまで増加していました。前述した結果と、このような量依存性を見ると、飛行による白内障のリスク増加は明らかなようです。 |
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マイレッジがたまりまくるような乗客はどうでしょう。国内では上昇下降に要する時間が多く、宇宙線に強くさらされるような高空にいる時間は限られています。国際線を利用する場合は別ですが、そのような路線をパイロットのように頻繁に利用する乗客はごく稀でしょう。 |
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したがって、注意しなければならないのはパイロットや客室乗務員に限られると考えられます。航空機搭乗員、特にパイロットには定期的な眼科検査が義務づけられていますから、白内障を見逃される心配はまずないでしょう。しかし、職業としてパイロットを選ぶ場合には、白内障のリスクを受け入れなければならないということになるようです。 |
| 出典は、Rafnsson V et al.: Cosmic Radiation Increases the
Risk of Nuclear Cataract in Airline Pilots. Arch Ophthalmol 123: 1102-1105, 2005 です。 |