LASEKの有効性

PRKと疼痛、視力経過に差はあるのか

 PRKは、角膜 上皮を剥離して角膜表面を削るため、術後疼痛が生ずることと、上皮が再生して平滑になるまで、視力回復にやや時間がかかることがLASIKに対する弱点です。そこで、上皮を除去せず、フラップ状に剥がし、術後この上皮フラップを創口に被せることで疼痛を抑制し、視力の回復も早めるという考え方があります。
 従来のPRKでは、スパチュラなどを用いて機械的に上皮を除去し、エキシマレーザーで計算量のボーマン膜及び角膜実質を削ります。t-PRKでは、角膜上皮がエキシマレーザーによって蛍光を発することを利用して、エキシマレーザー自身で上皮のみを除去し、それから計算量の切削を行います。従来のPRKt-PRKも上皮の除去方法が異なるだけで、上皮は取り除いたままになります。これに対し、LASEKは希釈アルコールを浸漬して角膜上皮を一枚のシートとしてフラップ状に剥離し、エキシマレーザーでボーマン膜及び角膜実質を削った後、この上皮フラップを元通り被せます。
  著者等はこの3種類の方法でPRK44例88眼、t-PRK53例106眼、LASEK41例82眼に屈折矯正手術を行い、術後経過を比較しました。術前近視はどれも-1.5〜-9.5D、平均-5.0D程度、年令は20〜45才、平均28才程度を対象としており、群間に差はありません。
 術後、上皮被覆完了までの日数は、PRKでは平均3.5日と、t-PRKの2.5日、LASEKの3.1日に対して時間を要する結果となっています。

 角膜上皮の喪失面積は術式によって異なるため、術直後の角膜上皮創部面積との比率で比較したデータでは、術後24時間ではどれも80%程度が未被覆。しかし48時間ではPRKは50%以上未被覆ですが、t-PRKLASEKでは30%まで減少、72時間でPRKは20%が未被覆ですが、t-PRKLASEKは10%以下となり、PRKで創部被覆の遅延が認められています。

 術後疼痛については、どの群でも有意差なし。上皮下混濁についても群間で差なし。裸眼視力についても術後1ヶ月から術後3ヶ月まで追跡して群間に差なし。結局、複雑な手順を踏む割には、LASEKt-PRKには創部治癒完了までの時間が半日〜1日早くなるだけで、あまりメリットがないということになります。創傷被覆が早く終わることは感染症の発生率が減る可能性もありますが、もともとPRKでは感染症はあまり問題になりません。術式が煩雑になる事によるトラブル発生も考えると、シンプルなPRKの方が好ましいかも知れません。あとは術者の慣れと好みの問題ということになりそうです。
  出典は、Lee HK et al : Epithelial Healing and Clinical Outcomes in Excimer Laser Photorefractive Surgery Following Three Epithelial Removal Techniques: Mechanical, Alcohol, and Excimer Laser. Am J Ophthalmol 139: 56-63, 2005 です。

 

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