加齢黄斑変性と日光曝露

光線の影響は少ない

  加齢黄斑変性はやっかいな病気であり、発症の危険因子が疫学的に追求されてきました。喫煙は明瞭な危険因子であることがわかっていますが、日光曝露、すなわち光線が有害であるかどうかは議論の分かれるところでした。今回紹介する論文は、この点を検証したものです。
  対象はウィスコンシン州、ビーバーダムの住人のうち、初回調査時(1987年9月〜1988年5月)に43才〜84才であった5924名のうち、10年時(1998年3月〜2000年6月)の調査を行うことができた2764名です。このような地域ぐるみの大規模な調査を継続して実行できること自体、大した業績だと思います。
 日光曝露は紫外線のうちUV-Bを考慮して、過去の生活、屋外活動歴から十代(13〜19才)および三十代(30〜39才)での曝露量が推算されています。帽子やサングラスの使用時間も同時に調査され、補正されています。また季節による屋外活動の時間差も調査されています。加齢黄斑変性の発症、悪化の有無は眼底写真における網膜色素の増加、ドルーゼンの発生、滲出性変化などを比較して行われました。
 結果は、戸外で過ごした時間と加齢黄斑変性の発症との間には関連が見られませんでした。喫煙や年令などの要素を補正すると、10代及び30代における夏の日光曝露量初期加齢黄斑変性の発症に有意な関連があり、全体を通じて日光曝露量の多いグループでは網膜色素の有意な増加が認められましたが、加齢黄斑変性との相関は見られませんでした。また、10代、30代の夏に長時間日光を浴びたグループのみに帽子やサングラスによるドルーゼン発生の予防効果が認められましたが、加齢黄斑変性の発症、進行や網膜色素増加との関連は見られませんでした。
 ウィスコンシン州の緯度は北海道北部にあたり、日本では日光曝露の影響はより大きいかも知れません。しかし水面高度約250mのビーバーダム湖畔にある人口2万人足らずの小さな町に対し、日本では都市生活者が多く、大気汚染などのために地上に到達する紫外線量は逆に少ないとも考えられます。またビーバーダムでは余暇の25%以上の時間を戸外で過ごす住人が、夏は54%、冬は29%でしたが、夏が暑い日本では、ライフスタイルの違いも含めて、夏の戸外で余暇を長時間過ごす率は低そうです。
 解釈は様々でしょうが、夏のまぶしい日射しをしかるべく避けていれば、平均的な日本人の暮らしの中で、日光はあまり気にしないでよいのだと思います。
 出典は、Tomany SC et al. : Sunlight and the 10-Year Incidence of Age-Related Maculopathy. The Beaver Dam Eye Study. Arch Ophthalmol 122: 750-757, 2004

 

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