| テレビを利用して、カメラでとらえた新聞や書籍の画面を拡大して映し出し、中心視力が低下した患者にも文字を読めるようにするのが拡大読書器です。視覚障害者は19万円以下であれば補助金の交付によって負担なしに購入できることから、日本でも数種類の製品が販売され、使用されています。 |
| 拡大読書器には、画面がカラーの製品、白黒の製品。カメラが台に固定されており、その下に対象を持ってきて見る製品、マウスのような形式でカメラを手に持って対象をなぞる製品などがあります。今回紹介する論文は、どのような形式の製品が一番使いやすいかを調査した報告です。 |
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対象とした製品は、 「拡大鏡」:使用者が使いやすいと思った光学的拡大鏡。手持ち式、スタンド式など 「マウス式テレビ」:手持ちカメラで対象をなぞる方式。40cm距離に置いた14インチテレビに映写される 「マウス式HMD」:手持ちカメラで対象をなぞり、眼鏡のように装着した液晶HMD (Head-Mounted Display)によって、眼前に画像を投影するもの 「スタンド式テレビ」:スタンドに固定されたカメラの下に対象を置くもの テレビは白黒の同じものを使用し、どれも10倍の拡大率で見えるようにセットした上で、logMAR平均視力0.85程度の患者を対象として、各種の比較を行っています。 |
| 文章の読解力と速度については、マウス式HMDの読解速度が遅く、細字では拡大鏡がマウス式テレビ、スタンド式テレビより速度が遅い、という結果になりました。行を追うテストでは拡大鏡がよい成績を示し、地図上の道をたどるテストではマウス式テレビが、拡大鏡とスタンド式テレビより劣る、という結果になりました。薬のラベルの読み取りテストでもマウス式HMDの成績が他の方式より悪い結果となりました。 |
| 拡大読書器の倍率が10倍に統一されているのに対し、拡大鏡の倍率は人によって異なり、5.8±2.5倍程度でした。これが行や地図を追うという、視角を必要とする作業では有利に働き、細字を読むという作業では不利に働いたものと思われます。拡大読書器同士でHMDの成績が悪かった理由を著者等は明確に示していませんが、液晶の性能に多分に依存するのではないでしょうか。道をたどるテストでマウス式が不利だったのは、手の動きと画面の動きの間に混乱が生じやすいではないかとコメントされています。 |
| マウス式HMDには、電源さえ持ち歩けば、外出先でも拡大読書器を使用できるという得難い長所があります。しかし、快適に使用するためには、重量や使用可能時間と同時に、画質にも十分配慮する必要がありそうです。 |
| 出典は、Peterson R et al. : Benefits of Electronic Vision Enhancement Systems (EVES) for the Visually Impaired. Am J Ophthalmol 136: 1129-1135, 2003 |
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