眼圧、角膜厚の人種差

人種による差はあるのか?

  日本人には正常眼圧緑内障が多いということが、1988〜1989年の緑内障疫学共同調査、最近の多治見スタディーで明らかになってきています。また、眼圧と角膜厚には関連があり、角膜が厚い人には高眼圧が多く、薄い人には低眼圧が多いことも多くの論文で報告されています。
  であれば、日本人に正常眼圧緑内障が多いのは、日本人の角膜が薄いために眼圧が不当に低く測定されているからかも知れません。実際、屈折矯正手術後などの薄くなった角膜では、眼圧が正しく測れないことが問題となっています。
 今回紹介する調査では、1482名の白人 (Caucasian)、172名の東洋人 (Asian)、204名のラテンアメリカ人 (Hispanic)、118名のアメリカ黒人 (African American)について、眼圧、角膜中心厚、角膜曲率などを測定、比較しています。
  結果は、アメリカ黒人の角膜中心厚が平均535μmと、白人の553マイクロに対して有意に薄く、東洋人、ラテンアメリカ人と比較しても統計方法によっては有意差が出ました。逆にアメリカ黒人を除くと、角膜中心厚に人種差はありませんでした。また、男性全体の角膜中心厚は平均554μmと、女性全体の平均548μmに大して有意に厚い結果が得られました。
 この調査でも、角膜中心厚とゴールドマン圧平眼圧との正の相関が確認されました。著者等は中心角膜厚(T:単位μm)とゴールドマン眼圧計測定値(A:単位mmHg)から、真の眼内圧(P:単位mmHg)を算出する数式、

P=A+(550-T)/11.8

を用いて、得られた眼圧測定値を角膜中心厚で補正した結果、アメリカ黒人は15.9mmHgと白人(14.6mmHg)や他の人種に対して有意に高い補正後眼内圧を示しました。

また角膜曲率と角膜中心厚には有意な相関があり、厚い角膜ほど曲率が平坦でした。角膜曲率自体には人種差はありませんでした。

 角膜屋としては、眼圧と角膜厚の人種差もですが、角膜曲率に人種差がないこと、曲率と角膜厚が相関することに興味を惹かれます。円錐角膜の中心部が極端に薄いことや、LASIKによる医原性円錐角膜を考えると、薄い角膜で曲率がスティープになることは納得できますね。
 出典は、Shimmyo M et al.: Intraocular Pressure, Goldmann Applanation Tension, Corneal Thickness, and Corneal Curvature in Caucasians, Asians, Hispanics, and African American. Am J Ophthalmol 136: 603-613, 2003

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