防腐剤と白内障

塩化ベンザルコニウムは白内障を起こすのか?

 塩化ベンザルコニウムはポピュラーな防腐剤であり、機器の滅菌や皮膚粘膜の消毒、そして点眼薬の防腐剤としても多用されています。今回紹介する論文では、ヒト水晶体嚢上皮を培養し、キサラタンチモプトール塩化ベンザルコニウムの純成分をそれぞれ加えると、前二者は点眼薬濃度の1/10、塩化ベンザルコニウムは点眼薬濃度の1/100で細胞分裂を阻害し、1/1000でも炎症成分(インターロイキン)の生成を認めたと報告しています。
 著者は白内障術後炎症に水晶体嚢上皮が関与しており、術後緑内障点眼薬を投与する際に塩化ベンザルコニウムが炎症を増し、術後の黄斑浮腫を作りやすいかもしれない、と議論しています。一般に点眼薬の前房中濃度は点眼薬濃度の1/1000程度だそうです。
 エディトリアルでは、過去に行われた疫学調査で、緑内障点眼薬使用者に白内障が多く出現していることを指摘しています。点眼薬成分そのものではなく、房水流の変化で説明することも十分可能ではあるが、塩化ベンザルコニウムの影響を否定することもできない。大規模なプロスペクティブ・スタディーでしか評価できないだろう、と結論しています。
 とはいえ、ではソフトサンティアの硼酸はどうか、といわれるとこれはデータがわかりません。防腐剤に神経質になりすぎるのは間違いだと思いますが、もう少し安心して使える防腐剤があるといいですね。だれかが前房中濃度の塩化ベンザルコニウムと硼酸で比較試験をやってくれるとありがたいのですが。
 出典は、Goto Y et al.: Human Lens Epithelial Cell Damage and Stimulation of Their Secretion of Chemical Mediators by Benzalkonium Chloride Rather Than Latanoprost and Timolol.. Arch Ophthalmol 121: 835-839, 2003 およぴ、Brandt JD: Editorial - Does Benzalkonium Chloride Cause Cataract? Arch Ophthalmol 121: 892-893, 2003

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