黄斑前膜の自然経過

5年間で、進行または発生:34%、不変:39%、軽快:26%

 住民全体を対象とした眼疾患調査で有名な、オース トラリアのブルーマウンテン・アイ・スタディーの結果報告論文です。今回報告されたのは、黄斑前膜の5年間経過時の自然経過についてです。
 黄斑前膜Epiretinal Membraneなので、厳密には網膜前膜でしょう)は、黄斑皺襞形成によって、歪視、視力低下の原因になる疾患です。最近は硝子体手術がかなり安全な治療方法として定着してきていますが、進行しないこともあれば、自然に軽快することもある。手術を薦めるかどうか、判断に迷う疾患でもあります。
  今回報告されているのは、1992年から1994年にかけて開始時の眼底検査を行い、5年後、1997年から1999年にかけて集計時の検査を行った2335名で、開始時年令は49才以上を対象 としています。
 黄斑前膜網膜皺襞を伴わない軽症のセロハン状黄斑反射(CMR)網膜皺襞を伴う重症の黄斑前増殖(PMF)に分け、病変部位の面積が25%以上増加したものを悪化、25%以上減少したものを軽快、25%未満の変化は不変として定義しています。
 その結果、5年間で新たに発生した黄斑前膜は、CMRが3.8%、PMFが1.5%の計5.3%。すでに存在する黄斑前膜が悪化したものが28.6%、不変だったものが38.8%、軽快したものが25.7%という結果が得られました。また、その間にCMRからPMFに進行したものが9.3%ありました。
  片眼に黄斑前膜があり、他眼は正常だった者のうち、13.5%が他眼にも黄斑前膜を発症しています。また、白内障術後患者の黄斑前膜発生率は9.1%であり、手術をしていない対象の4.9%に対して有意に高い発生率を示しました。
  白内障術後や片眼の黄斑前膜は、黄斑前膜の危険因子であり、黄斑前膜を5年間放置した場合、不変または軽快が約2/3、網膜皺襞のなかった症例に網膜皺襞が発生する確率が約1割。本人がある程度視力に対して意欲的であれば、熟練した硝子体手術医さえいれば積極的に手術に取り組むべきかな、と考えさせられる結果でした。
 出典は、Fraser-Bell S et al.: Five-Year Cumulative Incidence and Progression of Epiretinal Membranes. The Blue Mountains Eye Study. Ophthalmology 110: 34-40, 2003

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