遠近両用眼鏡による近視進行予防

累進多焦点眼鏡は学童の近視進行予防に役立たなかった

 過去のニュースでも紹介しましたが、学童の近視進行には近業が関係し、近見調節努力が近視の大きな原因と考えられています。
 では近見時に調節を必要としないようにすれば近視進行を抑制できるのではないか。そんな発想で学童に遠近両用(累進多焦点)眼鏡を装用させ、近視進行に差が出るかどうかを調査したのが今回の論文です。
 対象は7才から10才半までの学童、298名。うち138名には加入+1.5Dの累進眼鏡(遠用部プラノ)を、160名には全面プラノの眼鏡を、内容を告げずに装用させ、2年間フォローしています。ただし、試験内容とランダムな振り分けについては説明してあります。
 2年間、装用を続けて試験を終えたのは、累進眼鏡群121名、プラノ群133名。屈折、および眼軸長計測の双方とも、2群に差は認められませんでした。
 著者らはこれまでに同様の試験を行った他の研究を紹介し、コントロールの良い試験では差が出なかったと指摘しています。学童がちゃんと近用部を使うかどうかも問題になるので、この試験では遠用部の10mm下に近用部という、成人用よりも短い移行帯の累進レンズを使用しています。
 累進眼鏡が無効であるからといって、直ちに近見調節緩和が無意味とは言えず、例えば近見単焦点眼鏡を常時装用すれば有効という可能性はあります。ただ、学童の日常生活を損なわずに長期間装用することを考えると、実用的ではないでしょう。
 家庭学習時には近視進行抑制のため低矯正の眼鏡(たいていは一つ古い眼鏡)を装用させるというのは、学童期の近視に対してよく行う指導ですが、どこまでそれが有効か、少し疑念を生じさせる報告でした。
 出典は、Edwards MH et al.: The Hong Kong Progressive Lens Myopia Control Study: Study Design and Main Findings. Invest Ophthalmol 43: 2852-2858, 2002

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