アトロピンと遮蔽の弱視治療効果比較

中等度の弱視に対して、アトロピン点眼は遮蔽と同等に有効だった

 弱視治療といえば健眼遮蔽。アイパッチの使用というのが日本では小児眼科の常識だと思います。アトロピンも調節妨害による遮蔽効果はあるものの、基本的には補助手段に過ぎないと思っていました。ここで紹介する論文は、少なくとも中等度の弱視に対しては、アトロピンも遮蔽と同等の治療効果がある、と報告するものです。
 47施設が、7才未満の中等度の弱視小児419症例に対して、ランダムに健眼に対するアトロピン点眼健眼遮蔽を選択し、プロスペクティブに追跡した結果、治療開始後しばらくは遮蔽群の方がやや視力改善が早かったものの、6ヶ月経過後の視力には臨床的な差が見られませんでした。
  具体的には矯正視力0.5〜0.2を中等度として対象にしています。6ヶ月後に弱視眼の矯正視力が0.66(20/30)以上になった、あるいは3段階以上の視力改善が認められたのは、遮蔽群で79%、アトロピン群で74%と有意な差が見られませんでした。
 ただし、治療開始後5週では、上記の定義による改善例は遮蔽群の56%に対して、アトロピン群で33%と劣っており、視力改善の立ち上がりは遮蔽治療の方が良いようです。
 出典は、The Pediatric Eye Disease Investigator Group: A Randomized Trial of Atropine vs Patching for Treatment of Moderate Amblyopia in Children. Arch Ophthalmol 120: 268-278, 2002
 同じ雑誌で、Editorialが寄せられています。Kushner BJ: Atropine vs Patching for the Treatment of Moderate Amblyopia in Children. 387-388. Editorは、弱視矯正の効果に対して、retrospectiveなものや症例報告的なものでない、prospectiveな科学的調査がされたことを高く評価し、その結果、中等度の弱視に対して、アトロピン遮蔽が同等の効果がある治療方法として選択できるようになったことを賞賛しています。
 Editorはアトロピンの全身的な影響などにふれた上で、早期に効果が出る遮蔽の方が、保護者や患児に対する治療続行の動機付けには優れているかも知れない、と考察しています。同時に、アトロピンといえども、健眼に遮蔽弱視を生ずる可能性があるから、遮蔽治療同様、健眼のチェックも怠らないよう、とコメントしています。

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