加齢黄斑変性の危険因子

日光曝露は加齢黄斑変性に関係なく、喫煙だけが危険因子

 加齢黄斑変性は、 視力に重要な影響があり、しかも治療が困難なため、現在もっとも問題になっている眼科疾患の一つです。このサイトでも、以前、加齢黄斑変性の危険因子として、喫煙が挙げられ日光は関係ないという報告を紹介しています。
 今回紹介する2論文も、上記の結果を裏付けるものです。内服薬やビタミン剤などは加齢黄斑変性の防止にほとんど役立たない、という報告もあります。結局、加齢黄斑変性というやっかいな病気を予防するには、タバコを吸わない、吸う人間に近づかない、という注意しかないことになりそうです。また、眼科医としては、患者さんに喫煙の有無を問診し、禁煙を指導する、少なくとも他人がいるところでは喫煙させない、という指導を行うべきでしょう。
 Delcourt C et al.: Light Exposure and the Risk of Age-Related Macular Degeneration. Arch Ophthalmol 119: 1463-1468, 2002 では、フランスのSete地域の2584名の住人を対象とし、その中の加齢黄斑変性発症者38例を調査した結果、日光曝露とは関係ないと結論しています。Seteは地中海に面したフランスの町で、漁業、牡蠣養殖など、日光曝露は平均的日本人よりも多い環境と考えられます。
 McCarty CA et al.: Risk Factors for Age-Related Maculopathy. Arch Ophthalmol 119: 1455-1461, 2002 では、オーストラリア、ビクトリア州の都会区域住人3271名、周辺区域住人1473名を対象として、学歴、虹彩の色、喫煙歴が40年以上か否か、加齢黄斑変性の家族歴、肥満度(BMI)、ACE阻害剤(降圧剤)投与歴、コレステロール降下剤投与歴、閉経時期、遠視の有無を調査しています。
 この中で656例が加齢性黄斑症を、30例が加齢黄斑変性を発症しました。解析の結果、ここでも日光曝露の寄与は否定され、発症に関係するのは年齢を除けば、40年以上の喫煙歴とACE阻害剤の投与歴だけでした。
 最初に書いたように、環境因子としては問題なのは喫煙だけ、という結論になるわけですが、興味深いのはACE阻害剤(アンギオテンシン代謝酵素阻害剤:降圧薬)が喫煙と同等の危険因子だという点です。高血圧による疾患の危険性も重大ですが、他の薬剤で安全に降圧できるなら、ACE阻害剤投与を避けた方が良い、ということになりそうです。

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